核兵器廃絶への思いを、全校生徒に

〜戦後80年 核兵器廃絶と世界の平和を願う〜

先日、本校の生徒が、核兵器廃絶平和都市宣言40周年記念事業に参加しました。
このイベントは、戦後80年という節目の年に、核兵器のない平和な世界を願う重要な機会となりました。

記念事業に参加した生徒は、平和の尊さや核兵器がもたらす悲劇について、改めて深く学びました。
そして、平和を願う心を次世代に伝えていくことの重要性を実感したよう です。

後日、その生徒たちは全校集会でスピーチを行い、記念事業で感じたことや、平和への強い思いを全校生徒に伝えました。
静まり返った会場で、生徒たちは彼女たちの真剣な言葉に耳を傾け、平和について改めて考える貴重な時間となりました。

以下に、全校集会で行われた生徒スピーチの内容を掲載します。
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〇高校1年生 跡部 さん
私は、小さい頃に直接祖父から戦争の話を聞いたことがあります。
生々しい話ではなく、「自分には本当は姉と妹がいて、その2人は体を壊し、戦後の食糧難によって十分に栄養を得られず亡くなってしまった」という話でした。
その話が心に残り、それ以降戦争について関心を持つようになりました。今回夏季平和事業に参加したのも戦争への関心がきっかけです。

講演の中で、私にとって印象的だったことは2つあります。

1つ目は昨年ノーベル平和賞を受賞した日本被団協のメンバー田中重光さんの話です。
田中さんは長崎で原爆の被害に遭われた方です。
田中さんは一家全員無事だったけれど、怪我人が病院に収容しきれず寺や学校にも運び込まれ、その場には血の匂いや人の焼けこげた異臭が漂い、怪我をした子どもたちの「母ちゃん」「痛いよ」という言葉を聞いたそうです。
田中さんは、原爆は人間らしく生き死ぬことすら許されず、生き抜いても男性は就職差別、女性は「変な子供が生まれるから」と結婚差別を受けたのにも関わらず、国は賠償せず、「戦争被害は耐え忍べ」という姿勢を崩さないことにとても腹が立つ、とおっしゃっていました。

この話を聞いて、私は原爆が落とされた前後の話だけしか知らなかったんだと気づき、表面的なことを知って満足するだけではなく、もっと深いところまで知ろうとしなければならないと強く感じました。

2つ目は高校生平和大使の方々の言葉です。
平和大使の方がおっしゃったことはとてもショックなことでした。
「今、世界にはボタンを押したら起動できてしまう核兵器が4000発ある」
核兵器が今も存在していることは知っていましたが、そんなにもあるのかと驚きました。
そして、それがいつ使われるかわからない緊張と、広島と長崎の惨禍が再び起こるかもしれないという懸念に包まれた、不安定な世界になりつつあるという現状にもっと危機感を感じなければならないと強く思いました。

戦争の話は決して楽しい話ではなく、重く苦しい話です。友達と面白かったことや好きなことの話をして盛り上がる方がもちろん楽しいでしょう。
けれど、重く苦しい話から目を背けた先に待つ未来は、きっと平和とは言えません。
終戦から80年の年月が過ぎ、現在被爆者の方々の平均年齢は86歳と言われています。
戦争を生き抜き、バトンを繋ぎながらここまで言葉を伝えて続けてくれた戦争経験者の方々の言葉に耳を傾け、生の声を聞ける最後の世代としてその切実な言葉を未来へ伝え、なにか行動をおこすべきだと感じました。

これからも戦争への関心を失わず、戦争や平和について考え続けていきたいです。
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〇高校1年生 中村 さん
私は、ノーベル平和賞を受賞し話題になった日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)の会長の話を聞けるということで、なかなかない機会だと思い、参加することにしました。また、今回は高校生平和大使の人との交流もあり、同じ年代の人がどのような活動をしているのか知りたいとも思っていました。

今回参加してみて、私は驚いたことが2つあります。
1つ目は、大牟田の空襲を体験された方のお話です。空襲で生き延びても、その後食べ物もなく、本当に辛い思いをされたそうです。今こうして普通に学校生活を送っているこの大牟田でも、そんな悲惨な過去があったことを知り、本当に胸が痛みました。でも、私が本当に驚いたのは最後にその方と話していた時のことです。その方は、「まあ、私の経験したことは広島や長崎なんかに比べたら全然大したことはないんですけどね。原爆というのは本当に恐ろしいですよ。」とおっしゃいました。私はこの言葉にとてもびっくりしました。その方も戦争で生きるか死ぬかの状態にあって、それが大したことないわけがないと自ら身をもってわかっているはずです。それでも、それを大したことないと言えるほど、原爆はもっとひどいものなのです。二度と原爆が落とされるようなことがあってはならないと強く思いました。

2つ目は、高校生平和大使の方の話です。高校生平和大使は、平和な世界の実現のために署名を集めたり、小学生や中学生に戦争のことを教える授業をしたりしているそうです。私が驚いたのは、そんな立派な活動をしているのに、批判する人もいるということです。署名を集めている時、止まってくれない人の方が多く、中には「平和ボケだ」などと傷つくようなことを言う人もいるそうです。もし私がそんなことをされたら、もうやりたくなくなると思います。それでも、平和大使としての活動を続けているのは、平和な世界になってほしいという強い思いがあるからだと思います。私と同じ世代の人がそのように動いていることに、私は強い尊敬の念を抱きました。

今回、こうして平和事業に参加したことで、より平和への思いが強くなりました。戦争経験者の方々は、自身が直接記憶を語り継ぐことへの限界を感じていて、かなり焦っておられるように感じました。私たちは直接話を聞ける最後の世代です。話を聞ける機会を無駄にしないようにしたいと思いました。

高校生平和大使の方は、小中学生に授業をする時、一方的にではなく話し合いながら戦争について一緒に考えることを意識していると話していました。私たちも、自分たちにできることを共に考え、実行していくべきだと思います。

これからも、こうした機会に積極的に参加したいです。
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明光学園はこれからも、生徒たちが平和について学び、積極的に行動する機会を大切にしていきたいと思います。